母猫が子猫の首根っこを「パクッ」とくわえて、てくてく運んでいく姿。猫好きなら、テレビやネットで一度は見たことありますよね!運ばれてる子猫って、なんだか魔法にかかったみたいに、とってもおとなしい。あの姿、めちゃくちゃ可愛くて癒されます。
だから、「猫って首根っこを持たれると安心するんだな」「しつけの時に使えるかも!」なんて思っちゃうのも、無理ないかもしれません。でも、その『常識』、もしかしたら愛猫を危険にさらしているかもしれません。その理由、気になりませんか?でも、ちょっと待って!その考え、実はすっごくキケンな誤解かもしれないんです。
この記事では、猫の「首根っこ」に隠されたビックリなヒミツを、皆さんと一緒に探っていきたいと思います。なんで大人の猫の首根っこをつかんじゃいけないのか、その理由から、愛猫ともーっと仲良くなれる正しい接し方まで、分かりやすくお話ししますね!
なんで子猫は首根っこを持つとおとなしくなるの?あの「魔法」の正体とは。

猫の首は根っこは大丈夫?
そもそも、なんで子猫は首根っこをくわえられると、あんなにピタッとおとなしくなるんでしょう?
実はこれ、「気持ちいい〜」とか「安心する〜」っていうのとは、ちょっとワケが違います。この現象には『運搬麻痺(うんぱんまひ)』っていう、ちゃーんとした名前があるんです。これって、子猫が生まれつき持っている、生き残るためのすごい「反射」なんですよ!
想像してみてください。もし敵が近づいてきた時、母猫は急いで安全な場所にお引越ししなきゃいけません。そんな時に子猫が「いやー!」って鳴いたり暴れたりしたら、敵に見つかっちゃいますよね。だから、首根っこをくわえられると自動的に体の力が抜けて、おとなしく運ばれるスイッチが入るようになってるんです。まさに、生きるための安全装置!
子猫の首の皮はよ〜く伸びるので、母猫が歯でくわえても痛くないようになってるのも、自然のすごいところ。つまりこれって、自分で動けない赤ちゃん猫と、お母さん猫だけの、特別なコミュニケーションなんです。
大人の猫に首根っこ持ちは超キケン!体が悲鳴をあげちゃう理由
じゃあ、大きくなった猫にも同じことをしていいんでしょうか?答えは、絶対に「NO!」です。
子猫の頃とはワケが違って、大人の猫には深刻なダメージを与えちゃう可能性があります。一番の理由は、なんといっても体重!
生まれたばかりの子猫なんて、体重はほんの数百グラム。とっても軽いです。でも、大人の猫は平均3〜5kg。その全体重が、首の後ろの皮一枚にかかるって、想像しただけで「うわっ!」てなりませんか?
例えるなら、2リットルのペットボトル2本を、ビニール袋の持ち手の一番細い部分だけでぶら下げるようなもの。めちゃくちゃ痛いし、危険すぎます!
人間の手で力いっぱい掴んだりしたら、首の筋肉や骨、大事な気管を痛めてしまうかもしれません。子猫の頃はビヨーンと伸びた皮膚も、大人になると硬くなるので、怪我のリスクはさらにアップしちゃうんです。
まぁでも、普通は手の方がもたない気もしますけど・・・
心にも大きな傷が!猫の首根っこ掴みで信頼関係が崩れちゃうかも…

窓際の猫
体が危ないだけじゃありません。目には見えない「心」のダメージも、すっごく深刻です。
子猫を守るための「運搬麻痺」スイッチは、自分で自由に走り回れるようになると、だんだんOFFになっていきます。つまり、大人の猫にとって首根っこをつままれることは、もう安心できる行為じゃなくて、ただの「拘束」や「攻撃」でしかないんです!
わけも分からず、突然動けなくされる…。一番信頼しているはずの飼い主さんから、いきなり自由を奪われるとしたら…?猫にとっては「味方に背後から襲われた」と感じるくらいの、ショックな出来事かもしれません。命のキケンを感じるほどの、パニック状態になっちゃうかもしれません。
特に、一番信じてるはずの飼い主さんにそんな怖いことをされたら、猫はどう思うでしょう?「この人は怖いことをする人だ…」って、悲しいレッテルを貼られてしまうかも。一度そんなふうに思われたら、信頼を取り戻すのはとっても大変。抱っこさせてくれなくなったり、触るだけで逃げたり…愛猫との間に、悲しい距離ができてしまうかもしれません。
でも、お医者さんは猫の首根っこ掴んでるよね?そのワケは?

猫と獣医さん
「あれ?でも動物病院で、先生がやってたような…?」って思った方、いますよね。確かにそう見えることもありますが、お家でやるのとは目的も方法も、ぜんっぜん違うんです!
獣医さんたちは、猫の体のことを知り尽くしたプロ。診察や治療の時に、猫がパニックになって暴れちゃうと、猫自身もスタッフさんも怪我をしてしまう危険があります。それを防ぐために、安全を確保する最終手段として、体に負担がかからないよう、細心の注意を払って、ほんの少しの間だけ首の後ろを軽く支えることがあるんです。
これは「クリップノシス」っていう専門的な技術。プロが安全のためにやる特別な技と、私たちが日常的にやるコミュニケーションを、ごっちゃにしちゃいけないんですね。
愛猫がとろける「安心だっこ」のコツ
猫ちゃんを運びたい時や、愛情を込めてギューってしたい時。猫が「これなら安心!」って思ってくれる、正しい抱っこのコツを教えちゃいます!
ポイントは、「胸」と「お尻」の2ヶ所をしっかり支えて、体を水平に安定させてあげること!
猫がリラックスしてるときに、「〇〇ちゃ〜ん」って優しく名前を呼びながら近づきます。片方の手を、前足のすぐ後ろの胸のあたりにそっと入れて、上半身を支えます。もう片方の手は、お尻全体を手のひらでふんわり包むようにサポート。そして、ゆっくり自分の体に引き寄せるように持ち上げてみてください。
こうすると、体がブラブラして不安定になることがないので、猫も安心して体を預けてくれやすくなりますよ。
でも、うちの猫ちゃんたちは、信頼しきっているのか、どんな大勢でも力を抜いて体を預けてくるので、変なポーズになることが多いです・・・
猫ちゃんによっては、お気に入りの体勢があるかもしれないですね!
信頼関係こそが最高のコミュニケーション!
結局のところ、猫との関係で一番大事なのは、やっぱり「信頼」です。
首根っこをつかむのは、母猫と子猫だけの期間限定のスペシャルなコミュニケーション。それを私たちが安易に真似するのは、愛猫の体と心を傷つけちゃう行為です。
一方的に「こうしなさい!」じゃなくて、猫の気持ちを考えて、彼らが出す小さなサイン(耳やしっぽの動きとか!)に気づいてあげること。それができれば、愛猫との絆はもっともっと強くなるはず!「この人は僕(私)のこと、ちゃんと分かってくれてる!」って、きっと伝わりますよ。
「猫の首根っこを掴んでいいの?」のまとめ

子猫が甘える
母猫が子猫の首根っこをくわえるのは、命を守るための、本能からくる究極の愛。でも、それは親子だけの、特別なものだったんですね。
私たち人間がその表面だけを真似しちゃうと、良かれと思ったことが、逆に猫ちゃんを怖がらせる結果になっちゃいます。猫という生き物のことをちゃんと理解して、彼らが本当に安心できる方法で触れ合っていくこと。それが、毎日をハッピーに過ごすための、一番の近道です。
正しい抱っこは、最高の「大好き」のサイン。あなたの優しい手で、今日もたくさんの愛情を伝えてあげてくださいね!❤️